時代小説書評_本所憑き物長屋お守様

時代小説書評【本所憑きもの長屋 お守様】お江戸のダークサスペンス

本所憑きもの長屋 お守様 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)

本所憑きもの長屋 お守様』福田悠


今回紹介するのは、福田悠「本所憑きもの長屋 お守様」です

時代小説、探偵小説(ミステリー小説)、一見共通点がない感じがしますけど、「時代ミステリー」という両方の要素を含んだジャンルがあると聞けば、それもそうだと納得するのではないでしょうか
この作品は、そんな「時代ミステリー」小説で、宝島社の「このミステリーがすごい」大賞の「隠し玉」として出版された小説だそうです
隠し玉・・・なんと通っぽい響き)

主人公の岡っ引き「甚八」とその姉で出戻りの「おしの」が子供のころから住んでいる長屋の祠には「お守様」という人形があった
それはこの長屋の地主である商家の、幼くして亡くなった息子を祀ってあるものなのだが、
恨みを持つ人間がこのお守様に、復讐したい相手の死を願うと、その恨みを晴らしてくれるという噂が流れる
そしてそれが真実であるかのような殺人事件が次々と起こり、甚八は事件の真相を追う…
というお話

序盤はありふれた時代劇の長屋の日常という感じで、殺人事件を追っているとはいえ、
明るくほのぼのとした感じで進むのかと思いきや、
事件を追うにつれ、武家社会の醜さ、人間の恐ろしさを目の当たりにすることになります

シャーロックホームズというよりは、ヒッチコック映画の静かな不気味さ
あと、詳しくは言えませんがこのダークヒーロー感は今の時代に合う…
後半の展開は面白いので一気に読めました