甘酒 ~江戸庶民の栄養ドリンク~

夏バテには甘酒!!

なんか最近甘酒が売れてるんですって
知らなかったなぁ…タピオカの間違いじゃなく?

というわけで、今回は江戸時代にも普通に人気があった甘酒について見てみましょう

甘酒は僕も好きで、家ではそんなに飲まないですけど、
冬の寒空の下で飲むのがいいんですよね
だから現在では冬にあったかくして飲む飲み物というイメージがありますが
江戸時代には主に夏に飲んでいたようです
ただし、江戸初期の頃までは今と同じように冬の飲み物だったようです

なんで夏に飲む感じになったのかといえば、
だんだんと甘酒が庶民に広がるにつれ、その栄養価が注目されたからでしょう
江戸時代は今のように至る所に栄養過多ともいえる食べ物があふれているというわけではありませんから、
暑さで一番体力を奪われる夏の栄養ドリンクとして注目されるのは当然の結果です
値段も手ごろで、1杯4文~程度で飲めたようです
これは現代人が自販機で缶コーヒー1本買うぐらいの手軽さ
昔はあまりスイーツもありませんから、これはありがたかったでしょう


甘酒ってどうやってできるの?

ではなぜ甘酒はそんなに栄養がある飲み物なのでしょう

手元にある別冊宝島の「江戸の家計簿」というムックに
発酵学者小泉武夫先生のインタビューがあり、
そこにとても詳しく書かれていたのでこれを参考、引用しつつ解説していきます

甘酒は米こうじを使用する場合と酒粕を使用する場合がありますが、
今回は米こうじを使用する場合についてです

料理オンチな僕みたいな人間だと米こうじってそもそも何だって話なんですけど
麹菌(こうじきん)というカビの一種が米にくっついて分解して繁殖する
この過程が「発酵」ということで…
(ちなみに人間にとって有益じゃないのが「腐敗」と言って区別されてるそうです)
つまり麹菌によって発酵した米が米こうじです

この米こうじに炊いた米とお湯を加えて暖かいところに置くと
1日で甘酒になります
米こうじが出すアミラーゼという酵素が、米のでんぷんをブドウ糖に分解しているからです
甘酒が甘いのはこのブドウ糖のおかげ
砂糖なんか入れなくてもいいわけです




甘酒の栄養はスゴイ

甘酒の栄養価について詳しく見てみると、麹菌によって
米のでんぷんブドウ糖
米の表面のタンパク質アミノ酸
こういうのになります

さらに、麹菌が増殖する過程で
ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、イノシトール……などなどビタミンがものすごく増えます

「発酵学者から見れば、ブドウ糖の溶液であり、総合ビタミン溶液であり、総合アミノ酸溶液なんですよ。それは、現代の医学に照らし合わせると、まさしく点滴みたいなものですね。」
(別冊宝島「江戸の家計簿」小泉武夫氏のインタビューより引用)
というように、よく甘酒が「飲む点滴」と言われるのはそういうことですね


麹菌というのはどういうわけか、日本にしかいないそうで、
甘酒は古代からあったと考えられています
そんなものが昔からあるのに、わざわざ添加物たっぷりのエナジードリンク飲みますか?
って話ですよ


参考文献

「江戸の家計簿」監修・磯田道史(宝島社)




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